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ついつい多めに混ぜてしまうシンナーですが、ほどほどに

『ペイント』に関する話をいくつか。

日本人はよく塗料のことをペンキと言いますが、これは英語のPaintから派生したのではなく、オランダ語の「Pek」が訛ってペンキと呼ぶようになったそうです。では、ペイント1缶(18リットル)でどれぐらいの面積を塗ることができるか知っていますか?

ペイントの種類・塗装場所・塗装方法によって多少差はありますが、18リットル入り1缶で約100~150㎡の面積を塗装できるというのが一般的でしょう。ペイントの種類や刷毛で塗るのかエアレス・スプレーで塗るのかによって塗膜の厚さが違うので、当然、塗装面積も異なってきます。

さらにエアレス・スプレーの場合、先端のノズルチップを交換することが可能で、使用するノズルチップによって、その流量や拡散幅が変わり塗膜の厚さが異なります。ちなみにVLCCのあの広大なDeck(パイプラインを含め)をローラー刷毛やスプレーでAllPaintしたことがありますが、200缶ぐらいのペイントを使用したと記憶しています。

ペイントに混ぜるシンナーの量についてですが、ペイントに対してシンナーの適量はいくらでしょうか?ペイントはシンナーを入れないと固くて塗り難いものです。塗りやすくするため、ついつい多めにシンナーを入れる人が多いようですが、ざっと5%ぐらいが適量ではないでしょうか。もちろんエアーレススプレーを使用する場合はもう少し多くてもいいでしょう。刷毛で塗る場合にはどうしても塗りやすくするためにシンナーを多めに混ぜてしまいますが、それでは折角の塗膜が薄いものとなってしまい、防錆効果が半減してしまいます。


ペイントの種類によって使用できるシンナーの種類が決まっています。相性の悪いシンナーをペイントに混ぜると牛乳とお酢を混ぜたように、分離・変質してペイントが台無しになってしまうことがありますので要注意です。相性はシンナーとペイントだけでなく、ペイント同士の相性も重要です。同じ色のペイントと思って上塗りすると下地のペイントとの相性が悪く、たちまち剥がれたり変質したりすることがあります。その対策として相性の悪いペイントを塗る前に「Binder」という相性の悪いペイント同士の間に割って入る仲介役のペイントを塗ることがあります。

また、「Hardener」を混ぜて使用するペイント、いわゆる2液タイプのペイントもその使用方法で注意すべき点があります。硬化剤であるHardenerを混ぜて使用しないと、塗り終わってから1週間たっても硬化せず、乾かないことになります。また、当日使用する量だけHardenerを混ぜて準備しないと、多目に準備して大量に余ったからといって翌日に使うつもりでも、硬化してしまってペイントが無駄になります。

塗装面が上写真のように水ぶくれ(Blister)を生じることもあります。原因は湿度が高い環境下で下地処理を行った場合、乾燥した塗膜が下地と十分密着せず浮き上がり、水ぶくれ状態となるのです。例えばドックで実施する船体外板塗装では気温5℃以上、湿度85%以下が塗装可能条件となっています。この範囲外の条件で塗装するとBlister発生の可能性が高くなり、せっかくのペイントが剥がれてしまいます。

ペイントブラシ(刷毛)ですが、日本人に馴染みのある刷毛といえば、上写真の上側の刷毛です。日本人全乗船の頃はペイント刷毛と言えば、このタイプでした。ところが、外国人が好んで使用するペイント刷毛は写真下側の形です。IMPAコードカタログにも写真上側の刷毛は「Japanese Style」と書かれており、外国人が使用する刷毛は「Dog Leg Paint Brush」と書かれています。ゴルフコースで例えられるDog Leg(犬の足)のように曲がった刷毛です。混乗船に長く乗っている船員はDog Legタイプのペイント刷毛に慣れてしまって、ペイント刷毛といえばDog Legタイプを連想するようになっているはずです。

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