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関所を通るときの通行手形のような書類 その2 「Port Clearance / General Declaration / B/L / Delivery Notice」

COUという書類を知らない航海士が多いかも知れませんが、他にも航海士が知っておくべき書類があります。

関所を通るときの通行手形のような書類 その1「COU / Nil List」

そのひとつが出港前に代理店から必ず受領する「Port Clearance」です。Port Clearanceとは、どんな書類でしょうか?出港する港のPort Authority(日本の場合は税関)が発行する証書です。言うなれば「この船は入港から出港までの期間に税関手続き等を適切に行ったので、次の港へ向け出港することを許可しました。」ということを証明する書類です。次の港では前港のPort Clearanceを提出します。まさに関所を通るときの通行手形のようなものです。Port Clearanceという手形がなければ、次の港で「犯罪逃亡の疑義有り、身元をあらためる」となる訳です。しかし、最近は日本の港を含めて前港のPort Clearanceの提示を要求しない港が増えてきました。

他にも皆さんの目に触れることが少ない書類として、「入出港届」があります。英語では「General Declaration」です。日本の場合は特定港に入港する船舶が港長宛に提出すべき書類です。内容はShip’s Particularのように船名、船籍港、船長名、IMO番号、代理店情報、貨物種類、乗組員数等を申告するものです。

皆さんも学校でB/L(Bill of Lading)について習ったと思いますが、実際の船でB/Lという書類に関わったことがありますか?コンテナ船などでは莫大な数の貨物を運んでいるため、貨物の荷送人と荷受人を明確にしておく必要があります。その貨物の所有する権利を証明する書類がB/Lです。極端な話、道で拾ったB/Lでもそれを持って行けば船で運ばれてきた貨物を受取ることができるのです。不動産家屋の権利書のようなイメージです。

よく言われるようにB/Lは有価証券です。ですから転売も可能で、貨物の所有者が転々と変わることも有り得ます。一方、タンカーやLNG船のように荷送人と荷受人が明確に定まっており、まず変わりようもないような貨物では、あまりB/Lを意識することもありません。単なる書類として扱われることが多いB/Lですが、実際には巨額な貨物の所有権を証明する非常に意味のある重要な書類です。

さらに「Delivery Notice」、「Re-delivery Notice」という書類を見たことがありますか?タンカーやLNG船では傭船者が変わるケースがしばしば発生します。英語で傭船者が変わることをSublet、Charter-out & Charter-inと言います。ある日時を境に傭船者が変更となるのですが、その切り替え時の場所や燃料残量、Cargo残量をDelivery Noticeという書類に記録して関係者に配布するのです。返船のときも同様にRe-delivery Noticeという書類に残量を記録します。燃料や貨物の残量の多い少ないは傭船者同士で精算することになります。

話は変わって、船で所持する武器の話です。武器と言えば、外国人船では船内に拳銃を所持している船長もいると言います。どれぐらいの割合で外国人船長が拳銃を船内所持しているか不明ですが、もし、拳銃を船内に所持していれば、毎回寄港地で申請手続きを行っているのでしょうか。もちろん日本船では拳銃を所持していませんが、手錠を所持している船があります。実際に何隻かの船で船長室の金庫の中に手錠を保管している船がありました。さすがに手錠を使用した経験のある船員は少ないとは思いますが・・・

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