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似て非なるもの(その8)

「津波注意報」と「津波警報」と「大津波警報」

これら3つの違いは予想される津波の最大高さです。津波注意報は高いところで1m以下、津波警報は高いところで3m以下、そして大津波警報は高いところで3mを超える場合となっています。従って大津波警報が発令されると、港内停泊船や沿岸航行船には甚大な被害が想定されるため、被害を最小限に抑えるための緊急対応策が必要です。さらに、近年「特別警報」も設定されました。「特別警報」とは数十年に一度しか発生しない深刻な被害を与える可能性がある津波、大雨、噴火等が発生した場合に「命を守る行動を取るよう」注意を促します。

内容は執筆当時のものです

「ガスケット」と「パッキン」

最近はほとんど区別されずに同義語のように使われていますが、本来は異なる物です。JIS規格でも定められており、動くところに使われるシールがパッキン、動かないところに使われるシールがガスケットです。ですから、パイプとパイプのつなぎ目から液やガスの漏洩を防ぐときに用いるのがガスケットであり、ポンプのグランド部からの漏洩を防ぐときに用いるのがパッキンです。どちらの言葉を使っても船乗りには通じますが、本来は違う用途の物です。

「針路」と「進路」

船が進む方向を意味する「針路」と「進路」という言葉を正確に使い分けていますか?「針路」は船の向いている方向、コンパスの方向です。そして「進路」は実際に船が進んでいる方向、進む方向です。英語では針路も進路も「Course」や「Track」ですが、私達船乗りはその意味の違いを理解して、使い分けたいものです。ちなみに「道」と「路」も微妙に言葉の定義が違います。「路」は太い道をつなぐ横みちや細いみちで、石を敷き詰めた人が往来するようなみちを意味しますが、「道」は東海道のように広いみちを意味します。さらに、「道」は武士道や柔道というように人が進むべき方向も意味します。

「栄転」と「異動」と「左遷」

仕事場が変わるという点では同じでも実際は大違いです。「栄転」とは、出世できる部署、活躍できる部署、皆が憧れるような部署への移動です。逆に「左遷」は出世できそうもない部署、活躍できそうもない部署、明らかに今いる部署より劣る部署への移動です。そして、その中間として、今と同程度の部署への移動が「異動」です。

「静的復原力」と「動的復原力」

静的復原力は英語で「Static Righting Moment」と言い、船がある角度傾斜したときに、船をもとにもどそうとする力の大きさです。一方、動的復原力は英語で「Dynamic Righting Moment」と言い、船をある角度まで傾斜させるのに対応する復原モーメントで、一種の仕事量と考える大きさです。静的復原力が傾斜そのものが主体ですが、動的復原力は傾斜を生じる外力の仕事量が主体です。

「赤」と「紅」

私達は「赤灯」、「紅灯」のどちらも使用し、あまり明確に区別して使っていませんが、本来「赤」は光り輝く色を意味し、オレンジ色からピンク色まで広範囲の明るい色のことです。一方、「紅」はベニバナの汁で染めた色のことで、特定の赤い色のことです。

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