ひも付きがいいですか?あかり付きがいいですか?

私達船員の尊い命を守る『救命浮環』の話です。

救命設備の一つとして救命浮環が甲板上や船橋ウィングに設置されていますが、その種類は「救命索付き」、「自己点火灯付き」、「自己発煙浮信号付き」、「何もついていないもの」の4種類があります。救命浮環の重量に関する規則としては、船橋ウィングの救命浮環が他のものより重いということを皆さんは良く知っていると思います。船舶救命設備規則第二十八条に規定されていますが、その重さは、船橋ウィングにある急速離脱装置の救命浮環は4kg以上、他の救命浮環は2.5kg以上です。

船橋ウィングの救命浮環が他より重い理由の一つは、船橋ウィングのリリース装置から落ちやすいように重くしているのです。軽すぎると、ピンを外しても簡単に落下しないかも知れません。もう一つの理由は船橋から海面までの高さが他より高いため、軽すぎると風に流されて意図するところに投げることができません。そこで、風があっても思った所へ目掛けて投げることができるように重くしているのです。せっかく投げた浮環が風に流されてデッキ上に転がってしまっては意味がありません。

Pilot Ladder付近に備えるべき救命ブイ(浮環)の種類についてもよく議論されますが、規定によると自己点火灯付きの救命ブイを備えなければいけません。以前、投げ索が付いた救命ブイを準備している船があり、Pilotから自己点火灯付きの救命ブイに替えるよう指摘を受けたことがあります。

なぜ「投げ索付き」ではダメかというと、投げ索が本船に連結されていると、海中転落したパイロットへ救命ブイを投げても本船が航走しているため、肝心の救命ブイが船に引っ張られてパイロットから遠ざかってしまうからです。重要なことは海中転落が発生した場合、すぐさま救命ブイを投下し、夜間の場合は自己点火灯でその位置を示すことです。

但し、SIRE Inspectionで舷梯付近に救命索付きの救命ブイが準備されていないと指摘されたことがあります。確かに乗降設備用の救命浮環として、自己点火灯と救命索を備えた救命浮環の積付けが必要(MSC.1/Circ.1331)です。ただし、自己点火灯と救命索を備えた救命浮環はSOLASⅢ章7.1.3規則においては禁止されており、32.1規則で要求される救命浮環の合計数には含みません。また、ISGOTTでも救命索と自己点火灯の両方が付いた救命ブイを用意するよう規定されています。ですから、無用な誤解を避けるためには、舷梯(Accommodation Ladder)付近に自己点火灯付きの救命ブイと救命索付きの救命ブイの2種類を準備しておくことをおすすめします。

参考 救命浮環の取り扱いの明確化(P66-68)| 2020年1月1日以降に建造契約が行われる船舶に適用2019 ClassNK 秋季技術セミナー

SIRE Inspectionで自己点火灯が危険区域にあるのに防爆型でないとの指摘を受けた日本籍のLNG船がありました。しかし、JG承認の防爆型自己点火灯は当時、製造されていませんでした。SIRE Inspectionで指摘された船はやむなく、写真の外国製の防爆型自己点火灯を設置しました。

しかし、外国製の防爆型自己点火灯はJG型式承認済みでないため、JG検査時にはJG承認タイプの日本製自己点火灯に設置し直すという苦肉の策を取っていました。その後、下の写真のようなJGの型式承認済みの防爆型自己点火灯がようやく製造されるようになり、その問題も解決済みです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA