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スマートで目先が利いて几帳面、負けじ魂、これぞ船乗り

『船員の持って生まれた資質』と『船員が学び覚えた素養』の話です。

最近は余り耳にしませんが、「船員に求められる資質・素養は何か?」という問いに対するリーズナブルな答えとして、昔から言い伝えられてきた言葉、それは「スマートで、目先が利いて、几帳面、負けじ魂、これぞ船乗り」です。船乗りはこうあるべきという、私達の目指すべき目標がこの言葉で表現されています。これら4つの要素は船乗りが兼ね備えるべき資質・素養としての必要条件になります。この言葉の表す意味を私なりに解釈すると、以下の通りとなります。

スマート

  1. 仕事をその真髄まで知り尽くして、洗練された巧みな技を持っている。
  2. 与えられた課題・仕事を手際良く、迅速に処理できる。
  3. 誰もが納得できる公平かつ合理的な判断を下すことができる。
  4. 適切な人員配置や適切な道具を利用して効率良い仕事ができる。

公平かつ正論で物事を捉えて冷静に判断し、誰にでもわかるように説明し、的確に行動する人は部下の信頼を得ることができます。

目先が利く

  1. 視野が広く、適切な情報を迅速に収集し、状況を的確に把握できる。
  2. 自らの経験や理論に基づいて緻密かつ正確な推測・予想を行うことができる。
  3. 潜在する危険の兆候を察知し、未然に事故・災害を防止できる。
  4. 突発的に発生した問題・課題に対して臨機応変に対処できる。

プロ将棋の指し手は100手以上先まで読んで勝負すると言います。私達も常に先々に目を向け、アンテナを各方面に張り巡らし、懐深く、余裕を持って仕事をしたいものです。

几帳面

  1. 仕事を処理するときにミスをしない正確性が備わっている。
  2. 緻密かつ効率的で安全な作業計画を立案できる。
  3. 記録を整理し、いつ・どんな場所でも有効活用できる。
  4. 上司や部下と円滑なコミュニケーションを常に取ることができる。

私は若い頃、整理整頓が大嫌いで下手でした。しかし、年齢を積み重ねるにつれて整理整頓が好きになっている自分に気付き、少し驚いています。人は変わる、変われるのです。

負けじ魂

  1. 人一倍に強い責任感が備わっている。
  2. モチベーションが高く、何事にも積極的である。
  3. 苦難・困難を打破する強靭な精神を有している。
  4. 日々切磋琢磨し、向上心や探究心を決して忘れない。

夢も仕事もあきらめてしまえば、そこで終わりです。不屈の精神があってこそ、成功への道が拓けます。待ちうけている幾多の困難も「負けじ魂」で乗り越えましょう。

「ナンバーワンでなくていい、オンリーワンになれさえすれば」という名文句がありますが、やはりナンバーワンを目指さなければ、オンリーワンさえ手に入らないのではないかと思います。また、「資質」は生まれ持った才能・性質で努力してもどうしようもないところもありますが、不足分は「素養」で補えば良いのです。平素の努力で学び覚えたものが「素養」です。理想とする船員になるためにその「素養」を伸ばしていけば良いのです。


皆さんも航海士という仕事に少なからず誇りを持っているはずです。身近なライバルや同世代の若者に負けないよう日々努力を惜しまずに職務を遂行しているのではないでしょうか。

「スマートであり、目先が利いて、几帳面であり、人一倍負けない気持ちでいる」という四拍子すべてを完璧に備えている人など皆無です。一人の船乗りとして、足らないところを常に補うよう努力すれば良いのです。現実には、なかなか簡単なことではありません。焦らずにひとつずつ積み木を重ねるように一歩一歩着実に自分の「素養」を高めていけば良いのではないでしょうか?皆さんも「賢くて格好良く仕事をこなし、綿密な準備や計画を立てて、臨機応変かつ自由自在に対応して誰にも負けない根性を持っているすばらしい航海士」になって下さい。

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