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日本の常識は、残念ながら世界では非常識扱い

日本人が世界に誇れる『日本の伝統ある習慣・文化』の話です。

日本では当たり前のような習慣、行動、価値観が世界の多くの国々とは全く異なっており、通用しない場面に時々遭遇します。むしろ日本の常識が世界では理解されないことが多々あり、極端に言うと日本人が常識と思っていることが世界では非常識と捉えられていることがたくさんあります。世界の人にとって日本人の行動が奇異に見えるのです。そのいくつかを紹介しましょう。

例えば、約束時間ですが日本では約束を守るのが当たり前で、特に時間に関しては非常に厳格でシビアです。鉄道の1分刻みのダイヤがまさにそうです。10分でも電車の到着・出発が遅れると日本人は必ず騒ぎ出します。5分前精神という言葉があるように、何事も早めに準備し、予定時間通りに物事を進めるのが日本人です。ところが諸外国の多くでは、事情が違います。

パイロットボートの到着が遅れて乗船時刻が15分遅れてもおかまいなし、船側も平気で30分遅れてPilot Stationに到着なんていう外国船も多く見掛けます。外地では上陸時に乗組員が使用するサービスバスが予定時刻を30分以上過ぎて、まだ到着していないなんてこともザラです。ですから郷に入っては郷に従え、少々時間通りに物事が進まなくてもイライラせず、相手のペースに合わせることが肝要です。

LNG船の荷役会議における出席者の人数も日本と海外で差が歴然としています。日本での参加者数の多さには驚きです。部屋にある椅子が足らなくなるほど荷役会議の出席者が多いのは日本だけです。下手すれば20人以上の出席者で、とにかく多すぎます。外地の積地、揚地では、少ないところでLoading Master、代理店、サーベーヤーと本船側で5人ぐらいのところもあります。(最近は日本でも数人程度しか訪船しない簡素化・合理化された素晴らしいターミナルもあります。)

日本人は昔から、つつましやかに振る舞うことや遠慮することが美徳とされています。しかし、諸外国では違います。自己主張が強烈です。例えば、外国人乗組員は昇進する機会があれば、必ずといっていいほど、アピールしてきます。下船時期が近づいて考課表を作成するときには、多くの乗組員が「私の仕事振りはどうですか?よかったら昇進を推薦して下さい」と申し出てきます。日本人の行動・価値観を決して否定するつもりはありませんが、外国人に見習うべき点も多くあると思います。日本人は自己主張をせずに損をしているところがたくさんあるので、必要な場合はもっと積極的に主張しても良いはずです。

日本人の行動・価値観を否定的に説明しましたが、逆に日本の価値観、習慣を外国人に見習って欲しいと思う事柄もたくさんあります。例えば謝罪の言葉、日本人は何か少しでも自分側に非があれば、「ごめんなさい」「すみません」から入ります。しかし、混乗船で一緒に乗り合わせる外国人乗組員は決して直ぐには謝罪の言葉を言いません。まずは言い訳から入ります。「以前は問題なかった。」「私は知らない。」「その担当は自分ではない。」等々。

これは外国人の文化なのでしょうか?それとも契約関係で乗船している彼らが「自分の非を認めることは、自分の不利益になるので、簡単には謝罪するものか。」という考えが根底にあるのでしょうか?よく、アメリカ人が謝罪しないのは、アメリカが訴訟社会なので簡単に謝ると自分の負け・不利になるので、謝るよりも自己主張を優先すると言います。その点、日本人は「潔し」の文化です。自分に非があった場合は「ごめんなさい」から始めるというのは世界に誇れる素晴らしい日本文化だと思います。船上でも日本の伝統を取り入れて、トラブルがあったときは乗組員各自がまずは「ごめんなさい」から始めて欲しいものです。

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