言った、言わないの水かけ論にならない方法

二者間で論争となったときに動かぬ証拠となる『文書』の話です。

皆さんは「文書」に残す重要性を理解しているでしょうか?逆に言えば、「口頭伝達」の不確実さを認識していますか?官庁では文書の重要性を十分認識しており、後日のトラブルや説明責任を果たすために何でも文書にして保管しています。船の場合も同様に文書が証拠、根拠となる事柄がたくさんあります。

例えば、会社から電話で連絡を受けてその指示に従った後で「そんなことを言った覚えはない。」「そういうつもりで言ったのではない。」と否定されれば、何ら証拠が残っておらず、「言った」「言わない」の水掛け論になってしまいます。そういった言い間違い・聞き間違いのトラブルを防止するには、口頭以外に必ず文書に残すことが肝要です。重要な事案に対しては、常に文書を取り交わすくせをつけましょう。「文章に残す」ことが誤解を招かないベストな方法です。

文章に残すのは対外的な場合だけに限りません。船内のちょっとした些細なことでもメモを相手に渡すことにより、言った方も言われた方も誤解することがなくなり、また、うっかり忘れることもなくなります。特に外国人船員と意思疎通をはかるときには、相手に伝わったつもりが、実際には相手が理解していないこともしばしばあります。そのようなときは口頭だけでなく、メモを手渡すという手順が必要です。その文章に一目瞭然の写真も添えれば完璧です。

また、メモは自分のためにも有効です。人間は物事全てを記憶して好きな時に取り出すことはできません。覚えておくつもりであっても、ついつい忘れてしまうものです。例えば、甲板上で不具合を見つけたときにメモせずに頭で覚えておいて、後で思いだすつもりが、他の仕事をしている間にすっかり頭から抜け落ちてしまうということはよくあることです。

人から頼まれたことをメモせずに聞いただけにしていると、忘れたままになっていることも多々あります。そんなうっかりミスをなくすためにメモを取るのです。メモに残してポケットや机の上において置けば、その記録がなくなることはありません。そのメモを見て、「そうだ、思い出した!やらなければ。」となるのです。

ところで、公の席で「自分」のことを「僕(ぼく)」と言って上司の人に注意を受けたことがありませんか? やはり沢山の人がいる公の席では「僕」ではなく「私(わたし)」を使うほうが良いでしょう。たった一つの言葉の違いであっても、相手の人が受ける印象は大違いです。広辞苑によると「僕」の意味は「男子が自分自身を指す語。もとは、へり下った言い方。」とあります。そして女子が用いるくだけた言い方は「私(あたし)」です。やはり「自分」のことを言うときは、社会人としては「私(わたし)」を使うのが無難でしょう。

また「わたくし」は目上の人に対して使います。余談ですが、関東方面では「自分」と言えば一人称の意味しかないようですが、関西方面では一人称以外にも二人称にも「自分」を使うことがあります。例えば相手に問いかけるときに「自分はどう思っているの?」と相手のことを「自分」と言います。二人称で呼ぶとき、普通は「貴方(きほう)」を用います。「あなた」という意味で敬意をこめて呼ぶ場合は「貴兄(きけい)」や「貴君(きくん)」を用いますし、「貴職」も尊敬語なので目上の人に用いて問題ありません。ちなみに「貴兄」の反対の漢字、「兄貴(あにき)」は兄の尊敬語です。

もう一つ。若い3/Oが船橋からトランシーバーで船長に代わって船首尾のC/O(1/O)や2/Oにオーダーすることがあります。そのときに相手が上司だからといって「チョッサー、・・・お願いします。」「セコンドッサー(セコンドオフィサー)、・・・してください。」と丁寧語でオーダーしてはいけません。あくまでも船長の代理として船首尾配置要員に指示しているので、明瞭簡潔にオーダーする必要があります。船上の現場作業では、「元気良く、堂々と勇ましく、命令口調」でオーダーすべきです。

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