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飲料水や雑用水が不足したときの手っ取り早い節水方法

古来より船では大変貴重とされてきた『水』の話です。

普段、身の回りにあって、何気なく使っているものは、その有難さになかなか気が付かず、無くなって初めてその有難さに気が付くものです。まさに船の水がそうです。皆さんもよく知っているように船の水は昔から貴重なものです。水はもちろんタダではありません。港で補水する飲料水(Drink Water)も船の造水器で作る雑用水(Fresh Water)、ボイラー水(蒸留水:Distilled Water)も費用がかかります。

飲料水を補水する場合、岸壁からの補水ならば、かなり安価で積み込むことができるでしょう。しかし、水バージからの補水となると、非常に高価な飲料水となります。飲料水自体の値段はそれほど高価でなくても、バージ代や作業員の人件費がかさんで非常に高くつきます。例えば通常の家庭の水の値段が100円/トンとするとバージで取る水は1,000円/トンと10倍にもなります。

船が長期沖待ちしたり、造水器が故障したりすると飲料水や雑用水が不足し、節水を余儀なくされることがあります。節水方法としては、甲板上の清水洗浄作業の中止、大量の蒸気(水)を使用するSoot Blowの実施回数の削減等があります。そして究極の節水方法として便所の水を清水から海水に切り替える方法があります。便所の水の使用量は意外と多く、30名以上が乗船している船では1日5トン程度は使用しています。

これを海水にすれば、毎日清水が5トンの節約になります。便所の水に海水なんてと抵抗があるかも知れませんが、昔は、練習船でも社船でも便所に海水を使用していました。海水を利用した場合の問題点は、パイプやバルブの発錆です。パイプ内が発錆すると、便器が黄色くなったり、フラッシュバルブが固着したりと弊害が各所に出てきます。ですから、便所の水を清水から海水に替える節水方法は最後の手段と考えておきましょう。

飲料水の取っておきの節水方法は、必殺技「蛇口外し」です。ギャレーやパントリーに雑用水と飲料水の両方の蛇口がついている場合、何気なく飲料水を食器洗いに使用している人が多くいます。ギャレーでは食器洗いに大量の水を使用しますので、これに飲料水を使用していると消費量は相当なものです。

そこで対策として間違って食器洗いに飲料水を絶対に使用できないようギャレーの飲料水の蛇口を固縛するか、又は外してしまいます。この「蛇口外し」が節水効果抜群です。1.0トン/日の飲料水消費が0.5トン/日まで直ぐに減ります。

ときどき、便所の水が流れっぱなしになったり、水道の蛇口が開けっ放しで、清水が何十トンもなくなるということがあります。わずかな水漏れでも24時間続けば相当な量になります。水道の蛇口からわずかにちょろちょろ流れているだけでも24時間合計の漏水量は1トンにもなります。大量の漏水の場合は、清水タンクのLow Level警報が鳴って気が付いたり、清水ポンプの長期間連続運転の警報で気が付いたりします。

通常、清水ポンプは機関室にある清水圧力タンクの水位が低下したときに起動し、圧力タンクの水位が一定になれば停止します。せいぜい5分、10分で停止しますが、居住区の便所や水道栓が開けっ放しになっていれば、圧力タンクの水位が上昇せずに、清水ポンプは運転を続けます。そこで、清水の異常を知らせるために清水ポンプの連続運転警報を30分間、1時間等に設定しておき、警報がなったら、清水がどこかで無駄に消費されていることがわかるのです。

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