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24ミリのボルトって、どこのサイズが24ミリ?

『ボルト』と『針金』の話です。

先ずはボルトについて。昔、Watch Officerとしてディーゼル船数隻に乗船し、機関部作業に従事した経験があります。そのときにつくづく感じた印象は、「機関部の仕事はボルト・ナットとの格闘である。」でした。毎日、来る日も来る日も機関室にある機器類の保守整備作業で沢山のボルト& ナットを外したり、取り付けたりと大忙しです。そんなときよく機関長さんから言われました。「ボルトの頭を見ただけで何ミリか判り、ぴったり合ったスパナを持ってくるようになって、初めてWatch Officerとして一人前である。」と。確かに17mmと19mm、24mmと27mmを見分けるのがとても難しかった覚えがあります。13mmのボルトと14mmのボルトの区別ができる人を本当に尊敬します。

ここでお話ししたいのは、ボルトを船用品で注文するときの注意事項です。24mmのボルトナットを注文するとき、ただ単に24mmのボルトと書いてしまいそうですが、よくボルトの頭を見てください。「M16」と書いていませんか?実は正確に注文するには24mmのボルトは「M16」と書かなければいけません。

IMPA Codeに換算表が掲載されていますので、一度見てください。要は私達が24mmのボルトと呼んでいるのはボルトの頭の部分の大きさが24mmで、それに合うスパナも24mmのものを使用するからです。しかしボルトのスペックとしては16mmです。つまりボルトの棒の直径が16mmであり、「M16」とは直径16mmの棒を加工したボルトということになります。ボルト一つにもこんな「うんちく」があるのです。

ボルトサイズ

ボルトと言えば、Watch Officerになって間もない頃、機関部作業に慣れていないため、ボルトを締め付ける作業に余裕や配慮が足りませんでした。大きな32mmのボルトも銅管を止めている数ミリの小さなボルトも同じように力一杯で締め付けてしまいます。そのため小さなボルトをねじ切るという失敗を何度もしました。Watch Officerの経験ある多くの人が同じような経験をしているかも知れません。

小さなボルトには小さなスパナで適度な力で締め付けることを機関士の人は身につけています。「どんなボルトでも親の仇のように力任せに締め上げれば良い」とは限らないことをWatch Officerになって初めて学びました。甲板部でも同じような話として、係船機のBrakeは力任せにおもいきり締め付ければ良いわけでなく、適度なトルクで締め付ける必要があります。

係船機のブレーキは強過ぎず、弱過ぎず、ほど良い力で

ボルトの次は針金の話です。皆さんも困ったことがあるかも知れません。あるいは、これから困るかも知れません。それは船用品で「針金」を注文するときです。

上の写真のようにストランドが入っていない細い針金を何と言うのでしょうか。Seizing Wireとは呼びません。ピアノワイヤーと呼びます。Seizing Wireと注文すれば、下写真のような固縛に使用するストランドが入ったWireが納品されることになります。

りのない針金は「Piano Wire(針金)」と呼びます。そして、ステンレス製が欲しいなら、Piano Wire (Stainless)と注文します。Piano Wireには撚りが入っておらず、ピアノ線と同じような形状をしているのでPiano Wireと呼ぶのでしょう。私も若い頃からこの注文間違いを度々してきました。

撚りのない針金を注文するときに、正式な名前を知らずに苦労したものです。例えば2mmの針金を注文するときはIMPA Code21-14-51でなく、67-10-28です。皆さんも同じ誤りを繰り返さないよう、針金と言えば「Piano Wire」と覚えて下さい。決してSeizing Wireではありません。

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