船の安全対策:危険区画のランプ交換作業をフェールセーフにする方法

船内の重要な情報伝達装置の一つである『船内電話』と危険物積載船の照明の安全対策の話です。


普段から使用頻度が非常に多く、いざと言うときにつながらなければ、危険な状態に陥ることさえある電話機。そのようにとても重要な電話機ですが、知らず知らずのうちに受話器が外れたり、受話器を元に戻したつもりが、上手く元の位置に戻っていないときがあります。大時化でローリングが激しくなり、電話機が机から落ちて受話器がフックから外れることも少なくありません。電話が通じないからと、外れている受話器を探すために船内に数十台ある電話機をひとつひとつ、しらみつぶしに確認するのは大変な手間と時間がかかります。

ですから船内電話の受話器が外れている場合、どこの部屋の受話器が外れているかが直ぐにわかる仕組みになっています。もしも受話器が外れた状態になると、船内に設置されている制御箱の表示盤にその部屋の電話番号が表示される仕組みとなっています。

さらに船によっては受話器が外れると警報が鳴るので、すぐに制御箱の表示盤でどの部屋かを調べて、その部屋へ行って受話器を元に戻せば良いだけです。


危険物積載船の船倉または危険区画にある電気器具は、当然のことながら左下写真のような防爆型になっています。ランプが切れたからと言って、危険区画等でライトカバーを安易に開放することは非常に危険です。そのため、船によってはライトカバーをうっかり開放することができない工夫を施しています。形が三角形、四角形、台形になったスパナーのような特殊な工具がないとライトカバーを開けることができないのです。しかも、普段はその工具がスイッチの一部となっており、照明のスイッチを“OFF”にしないと、スイッチボードから取り外せない仕組みになっているのです。照明のランプが切れて交換する場合、このスイッチを”OFF”にして、その工具をスイッチ箱から取り外して現場へ持って行かなければ、照明ランプのカバーを開けることができません。電源が入ったまま切れたランプを取替えることがないように安全を担保するための機構です。これがいわゆる「フェールセーフ(Fail Safe)」です。人間は必ずミスを犯します。そのミスが起きても事故に発展しない仕組みを「フェールセーフ」と呼びます。

ガス漏れの危険がある区域で電源を入れたままランプを開けることができないようにしてHuman Errorによる爆発事故発生を防いでいるのです。たった1個のランプ交換作業のためでも、いちいち合致するタイプの工具を持って行くのは、非常に面倒臭いことですが、決してショートカットしてはいけません。簡略する行為が危険行為そのものなのです。「安全のためには近道を選ばず、あえて遠回りの道を選べ!」です。

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