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大西洋の魔の三角地帯での行方不明事件は、迷信か?

世界的に有名な『魔の三角地帯』であるバミューダー海域の不思議な話です。

若い頃、自動車船でバミューダー島のハミルトン港へ自動車を運んだことがあります。そのときに「魔の三角地帯」を航行しました。魔の三角地帯とはバミューダーとプエルトリコ(サンファン)とフロリダ(マイアミ)を結ぶ北大西洋西部の海域で、この150年間で50件以上の原因不明の船舶や飛行機の失踪という事件が発生している海域です。

この魔の三角地帯で飛行機や船舶が行方不明となる謎は、未だに解明されていません。しかし、一説によるとバミューダー海域での海難発生の記録を詳しく調べてみると、他の海域と同じ程度との統計データもあるようです。やはり都市伝説として昔から言い伝えられてきた迷信なのでしょうか?

大西洋にはバミューダー海域に隣接してサルガッソー海(Sargasso Sea)があります。場所は北緯20 ~40度、西経35~75度付近です。サルガッソー海で海流が途切れており、そのためか、あるいは季節によるものか、薄茶色の海藻が大量に海面を覆っています。その海藻の名前がサルガッソーなのです。このサルガッソー海域は特に風・海流が弱いため大昔の帆船時代には船の墓場として恐れられていたことは事実です。大昔ですが私がサルガッソー海を航行したときも、気持ちが悪いほど無風状態で凪いでおり、「なるほど、昔の帆船なら、この付近で海藻に覆われて遭難するのも納得!」という印象を持ったのを覚えています。

行方不明と言えば、昔はシンガポールやインドネシア付近の南方海域で乗組員の行方不明事件が多く発生していたと言われています。風が無く海面が鏡のように静かな海域を航行中、乗組員が海面を見つめながら何かを思いつめるのでしょうか?ふと魔が差して、思わずハンドレールを乗り越えてしまうのでしょうか?定かではありませんが、南国の静寂な海を航行中に海中転落事故(事件)が発生することが多いと諸先輩方から語り継がれてきました。皆さんも何か思い悩んでいるときは、月明かりに照らされた静かな海面をじっと眺めないほうが良いかも知れません。そんなときは船内で最も気の合う仲間に悩みを相談するのが最良です。

話は変わりますが、皆さんは「Archipelago」という英語の意味を知っていますか?どこかで見たこと、聞いたことがあるでしょうか。海図でもときどき目にしているはずです。Archipelagoとは「群島」、「列島」という意味です。「群島国家」とはインドネシアやフィリピン等島々から成り立つ国のことです。これらの群島国家は自国の近海に群島航路帯(ASL: Archipelagic Sea Lane)という船舶の航行海域を設定し、それ以外の海域の船舶航行を禁止しています。

その最大の目的は環境保護です。一般商船が無闇にきれいな海やさんご礁海域を航行して国の宝である美しい自然を破壊するなということです。しかし、外航船舶が最短ルートを選択する場合、ときにはASL以外の海域も通航せざるを得なくなります。外航船舶には無害通航権という権利がありますので、どこかの港へ向かうために速やかに航行するときには、この群島航路帯を外れて航行しても問題にはなりません。群島航路帯を逸脱した場合でも国際海洋法条約の規定により無害通航権を行使できるからです。

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