径の2乗に比例:14ミリで2トンなら、28ミリで8トン

撚り(より)にひと工夫を施した『ワイヤー』の話です。

ワイヤーの種類の一つでNon‐Rotatingタイプのワイヤーを知っていますか?ワイヤーは張力が作用すると「撚り」の戻る方向へ自転しようとする性質があります。この性質をワイヤーの「自転性」と呼びます。クレーンで貨物を吊り揚げたときにブロックがくるくる回ってしまって苦労した経験がありませんか?通常のワイヤーは荷重がかかると、ワイヤーの持つ自転性により、まさにあのくるくる回る状態になりやすいのです。それを防止するために、「撚り」に工夫をした自転し難いワイヤーがあります。それがNon‐Rotatingワイヤーで、多くのクレーンのLifting Wireに使用されています。

普通のワイヤーの撚り数が6本なのに対して、Non-Rotatingワイヤーの多くが4本と撚り数を少なくして自転性を小さくしています。Non-Rotatingワイヤーの他の特徴としては、同じ径の6ストランドのワイヤーと比較して破断加重が高く、疲労断線も少なく、かつ使用期間の長いことです。ちなみに、これ以上の荷重を掛けると切れますよ、という荷重のことを「最小破断荷重:Minimum Breaking Load」、略してMBLと言います。

ではワイヤーの安全率はいくつでしょうか?クレーンや舷梯で使用する動索では安全率を5倍程度は見ています。動的応力を想定すれば、5倍ぐらいの安全率は必要です。つまり、クレーンでは1トンの貨物を吊り揚げるときには5トンの荷重で切れるワイヤーを使用しているのです。SWL(安全使用荷重)が1トンのワイヤーの破断荷重は5トンということです。昔のカーゴボート(雑貨船)の時代には、貨物のラッシングにワイヤーを使用したり、クレーンのワイヤー換えを頻繁に行ったりしていたので、甲板部の人達はワイヤーの太さを見たら、このワイヤーは何トンまで使用できるかが頭に入っており、咄嗟に使用するワイヤーが荷重に耐えられるかどうかの判断ができました。

私もそうですが、おそらく皆さんも14mmのワイヤーが何トンまで使用できるか、直ぐに答えられる人は少ないのではないでしょうか?現在でも多く使用されている14mm、20mmのワイヤーのSWLぐらいは直ぐに答えられるよう覚えておきたいものです。ちなみに、14mmのワイヤーで破断力が約10トンなので安全率5で割ると、SWLが約2トン、20mmのワイヤーで破断力が約20トン、SWLが約4トンです。

ですから、SWLは14mmが約2トン、20mmが約4トンと覚えておけば良いでしょう。また、ワイヤーの強さは径のほぼ2乗に比例するので、14mmが28mmと径が倍になればSWLは2トンから8トンへ4倍となります。従って14mm=2トンを頭に入れておけば、どんな径のワイヤーのSWLやMBLの概略計算が簡単にできます。皆さんも覚えたでしょうか、14 mmが2トンです。

ドラム缶をクレーンで吊り揚げて船に積み込むことも多いのですが、ドラム缶の重さや容量を知っていますか?容量はもちろん200リッターです。これを知らない人が意外と多いようです。ドラム缶1個が200リッターですから、比重1.0の水のドラム缶で0.2トン、200kgと重さをイメージして下さい。比重0.8の軽い油ですと160kgです。大相撲の関取一人分です。

クレーンでドラム缶5個を吊り揚げると1トン近い重量であると感覚的に知っておけば良いでしょう。甲板部や機関部には200kg近くあるドラム缶を傾けて器用にゴロゴロと回転させながら甲板上を移動させる人がいます。彼らは人が簡単に持ち上げることができない200kgもある重いものを器用に移動させることができるのです。

注意
記載事項は目安です。使用されるワイヤーの強度を必ずご自身でご確認ください。

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