必ず最大搭載人員数の数だけある船内備品

コスト削減のために乗組員の削減は避けざるを得ませんが、職員は法定定員の制約があるため簡単には減少できません。そんな『乗組員の定員数』の話です。

各船毎に職員の最少人数が定まっている一方で「最大搭載人員」も法律によって定められています。日本籍船では最大搭載人員数は国土交通省運輸局又は運輸支局が交付する船舶検査証書に記載されています。船舶に乗り組む人員の種類は「旅客」、「船員」、「その他の乗船者」の3種類です。英語では「Passengers」、「Crews」、「Other Persons」と言います。

一度、自分の船の船舶検査証書に目を通して下さい。そこには必ず、「旅客・・名」、「船員・・名」、「その他の乗船者・・名」と記載されているはずです。昔の時代の貨客船であれば旅客も搭載人員に含まれていたのですが、私達が乗船する一般商船では「旅客」は常にゼロです。

ここで質問です。「最大搭載人員数」とその数が一致している船の設備は何でしょうか?救命艇の最大搭載人員数ではありません。救命艇の最大搭載人員数は船の最大搭載人員数と一致している必要はなく、それより多ければ問題ありません。要は全員が乗艇できれば良いのです。例えば船の最大搭載人員数が43名のとき、救命艇の最大搭載人員数が47名でも問題ありません。最大搭載人員の数と一致している設備の正解は「部屋数」です。正確に言えば「ベッド数」です。船によっては二人部屋もあるので、部屋数と最大搭載人員数が合致していない船もあります。

しかし、最大搭載人員数より少ない数のベッドしか装備していない船はありません。当たり前の話ですが、寝る部屋がない人まで外航船に乗せてはいけません。ちなみに水先人や停泊中に乗組む作業員、見学者は搭載人員には算入されません。入港前に乗船してくるパイロットや港内で見学・作業で乗船する訪船者は搭載人員数にはカウントされません。ですから、パイロットと一緒に大勢の見学者や業者の人が乗船してもOKなのです。但し、外航船にパイロットと一緒に乗船する場合には、税関・入管の特別な許可が必要となります。

では、「船員」と「その他の乗船者」の違いは何でしょうか?Crew List作成時に便乗者の肩書きを書くときに悩むことがありますが、乗船者は「雇入・雇止される人」と「パスポートに入出国管理でスタンプを押される人」の2種類に分類することができます。そして前者が「船員」、後者が「その他の乗船者」となります。船員手帳で雇入・雇止するのが「船員」で、パスポートで入出国するのが「その他の乗船者」と覚えておけば良いでしょう。

ですから見習い実習生等で船員手帳に雇入・雇止をしない人は「船員」でなく、「その他の乗船者」扱いとなります。「その他の乗船者」をクルーリスト等に載せるときは、日本語で「便乗者」と書き、英語では「Supernumerary」(定員外の人)と書くことが多いようです。ちなみに「Supernumerary」という英語には別の意味として「映画等のエキストラ」という意味もあります。

便乗者が乗船するときに船と便乗者が取り交わす重要な書類があります。それは「誓約書」です。英語で言うと「Letter of Indemnity (LOI)」。内容は、便乗者が本船の指示に従うこと、本船に一切迷惑をかけないこと、たとえ便乗者に怪我や事故があっても本船に損害賠償の請求をしないこと等を約束するものです。

乗船中にトラブルがなければ問題ないでしょうが、一旦、人身災害等のトラブルが発生した場合には問題が複雑になったり、訴訟問題となってこじれたりします。そうならないように乗船前に便乗者へ意思確認するための書類が誓約書(LOI)です。船側にとっては不要なトラブルを回避する防衛手段の一つで、必ず便乗者が乗船する前に船側は誓約書を用意して便乗者同意の上、サインをもらいます。便乗者があるときは、このような書類上の面倒な手続きも必要になります。

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