藤井 迪生
船橋にスマホ2台とタブレット1台を船橋に並べて計測
屋外での計測も考えましたが、ここは船学。船乗りらしく、船橋に3台並べて計測することにしました。
利用する端末はiPad mini 4とiPhone 6s、それにAndroidのスマートフォン arrows F02H の3台。全てドコモ回線です。
それぞれのスマホ・タブレットに搭載されている位置センサーは下記のとおりです。
iPad mini 4 | Assisted GPS、GLONASS |
iPhone 6s | Assisted GPS、GLONASS、Galileo、QZSS |
arrows F02H | GPS/GLONASS |
それでは、準備から計測、結果の分析までを順に見ていきます。
実際に計測してみる
端末を3台用意しただけでは計測結果の比較ができないので、位置を1分間連続して測定し、その結果を表示するページ(https://lab.fune-gaku.com/201808/)を作成しました。
JavaScriptが無効になっているブラウザでは動作しません。位置情報はアクセスしている端末の中で処理されるので「船学.com」には保存されません。
プログラムの仕組み
まず、ウェブブラウザに搭載されているGeolocation APIを利用して、端末の位置情報を呼び出します。JavaScriptを利用して位置情報をブラウザに一時的に保存し、60秒経過後に保存していた位置情報を画面に出力します。
参考
Geolocation API – Web API インターフェイスMDN
測定時間の変更をしたい場合
ページのソースにアクセスし、otgq_position.js内の、if (count < 61 ) の数字を変更すると、計測時間を好きな間隔に変えられます。
60秒経過後、ページ下部のGPS測定データの下段のボックス内に計測した位置データが表示されます。データは「緯度」「経度」「精度(m)」「測定時刻」の順に並んでおり、データとデータの間はカンマで区切られています。
計測データを解析するにはデータをブラウザからエクセル等に移さなければならないので、「結果をコピーする」ボタン(上図参照)を押してデータをコピーします。iOSの場合はボタンが使えないので、iPad、iPhoneを使っている場合はボックス内の数字部分をタップして、全選択→コピーを行います。
計測初期は80mほどの差が発生
コピーしたデータをエクセルに貼り付けて、散布図を使ってプロットしてみます。
上図は単純に位置をプロットしただけですので、縦横比(緯度経度比)は正しくありませんが、バラつき具合は把握できるかと思います。Android端末の場合は計測を始めてから値が落ち着くまで約88m移動していて、iPadの場合も87m程移動しました。
次に位置が安定した後の状況を見てみます。
最終位置付近を抜き出してプロットしたものが下図です。(緯度経度比は大まかに合わせています。)
図のようにAndroid端末とiPhone、Android端末とiPadとの距離は共に約11m離れていました。一方でiPhoneとiPadは、それほど差がないと見て取れます。
正しい位置は30秒静止してから??
最後に、計測を始めてから測定位置がどの程度変化したのかをグラフにしておきます。
一般的にGPSで測位する際、前回の測定位置と異なる位置でスイッチを入れる(測位を開始する)と正確な位置を算出するまでには30〜40秒、場合によっては10分以上かかり、今回の実験では30秒を過ぎた辺りから安定してきました。
使用する端末によって、携帯電話網を使っておおよその位置を算出したり、バックエンドで連続的に測位し続けているなど、仕様は一様ではないと思います。ECDIS代わりにスマホやタブレットを利用されている方は、ご自身の端末の測位特性を一度把握しておくのも良いかもしれません。
もっとも、今回の結果から見えた測定差が海上での使用で問題になる程度なのか、検討しなければなりません。
携帯圏外の状態ではどうなの?
iPadとiPhoneでは携帯電話網からGPSの軌道情報を得て測位時間と精度を改善するAssisted GPSを利用していることが仕様に明記されています。
では、携帯圏外の洋上ではどのような計測結果になるのでしょうか。気になるところです。
皆さんの計測結果報告もお待ちしています。
それでは、UW!
今回解析に使ったエクセルファイルをアップしておきます。
データをセルに貼り付ければ、グラフが作成されると思います。測位地点間の距離も計算できます。
(計測緯度によって、1マイルが1,852mではないことに注意して下さい。)