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船内にたった一つしかないIsolating Valveはどこにある?

バルブに関する質問です。本船のSOLASに規定されている『Isolating Valve』はどこにありますか?

答えることができましたか?

私は若い頃、NKの検査官に「本船のIsolating Valveはどこにありますか?」と尋ねられて「Isolating Valve??? それは何のバルブですか?」と答えて恥をかいた覚えがあります。航海士としての知識のなさを露呈した格好悪い姿でした。当時はIsolatingの意味さえ知りませんでした。Isolating Valveとは文字通り「分離させるバルブ=中間弁」のことです。

船内では様々な機器にIsolating Valve(中間弁)が備わっていますが、検査官が尋ねた「Isolating Valve」とはたった一つのバルブです。SOLASで規定されているIsolating Valveと言えば船内に一つしかありません。SOLAS Chapter Ⅱ-2、Regulation 10、2.1.4.1に規定されている消火ラインのIsolating Valveのことです。どの船も赤色等に色分けして、かつ名前を明確に表示して、誰でも直ぐに識別できるようにしているはずです。

Isolation Valve

この「Isolating Valve」は何をするためのバルブでしょうか?このバルブは機関室の外側に設置し、このバルブを閉めることによって消火ライン主管を機関室の消火ライン(消火ポンプ)と分離させることができます。機関室内の消火ライン、バルブ、ポンプにトラブルが生じた場合、機関室消火ラインを消火主ラインから分離させて、Emergency Fire Pumpによる消火ラインを確保するためのバルブです。

操練でEmergency Fire Pumpを始動させて海水の上がりが悪いときに、このIsolating Valveを閉めることがあります。機関室へ海水が逃げて、消火ラインの圧力が上昇しないことがあるからです。「Isolating Valve」と言えば、この消火ラインのIsolating Valveを真っ先に思い出して下さい。

ではSteering Gear Systemの「Isolating Valve」を知っていますか?
操舵機のIsolating Valveの役割を説明しましょう。舵を動かしている油圧ラインはNo.1系とNo.2系の2系統あり、それぞれの油圧系が各2個のシリンダーを動かしています。(合計4個のシリンダーで舵を動かしています。)普段、航海中は1台の油圧ユニットで両系統の油圧ラインを共通にして使用しています。

航海中、仮に1号系統の油圧ポンプ&作動油タンクを使用しているときに、使用している作動油タンクの液面が低下するとアラーム(Low Level)が鳴り、自動的にこの「Isolating Valve」が閉となり、1号系の油圧ライン&タンクを2号系の油圧ライン&タンクから分離させて1号系だけを使用している状態にします。

そして、漏油の様子を継続して監視します。時間が経ち、さらにアラーム(Low-Low Level)が鳴ると、1号系ラインに油の漏洩があると判断して1号油圧ポンプ&タンクを停止し、自動的に2号系が起動します。もしLow-Low Levelが鳴らなければ、1号系の漏洩でなく、2号系の漏油ですから、そのまま1号油圧ポンプ&タンクを使用し続けることができます。

このようにSteering Gear SystemのIsolating Valveは油圧系統を分離させて、どちら側の油圧系から油の漏洩があるのかを見極めて、油が漏洩していない系統の運転を維持する重要な役目をします。また、何らかの理由でどちらかの油圧系にトラブルが発生した場合、手動で強制的にIsolating Valveを切替えて片側だけの油圧系を生かすことも可能です。

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