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OCIMF(オシモフ)がなんぼのもんじゃい、と言いたいところですが・・・

石油業界やLNG業界で絶大な権力を有する『オイルメジャー』の話です。

世界の殆どの石油市場をたった7、8社の石油会社が牛耳っているのは周知の事実です。お馴染みのエクソン、モービル、ロイヤルダッチシェル、ブリティッシュペトロリアム、シェブロン、トタール、テキサコ、ガルフ等々です。現在は統合集約されて、エクソンモビール、シェブロン、ロイヤルダッチシェル、BPの4大オイルメジャーが生き残っています。

皆さんは「OCIMF」という名前を聞いたことがありますか?OCIMFとは何の略でしょうか? 「Oil Companies International Marine Forum」の略で、私達は通常「オシモフ」と読んでいます。日本語では「石油会社国際海事評議会」といいますが、これだけではどのような団体かわかりません。タンカーやLNG/LPG船に乗船経験のある人なら良く知っていると思いますが、要は石油会社やターミナル会社の方針・意見・基準を集約するための寄せ集め団体です。

このOCIMFの主目的は「タンカー及びターミナルからの海洋汚染防止及び安全推進」です。しかし、「石油会社の寄せ集め集団が何を偉そうにしているの?」と、この団体を侮ってはいけません。皆さんもよく知っているようにオイルメジャー会社の影響力は非常に強く、関係業界では強大な権力を有しています。

OCIMFで取り決められたタンカーやLNG船の基準が言わば世界の基準となるのです。当然、日本の石油会社も参加していますが、残念ながら日本企業の力は微弱なようです。最近LNG船でもクローズアップされているSIRE Inspectionは、船舶管理におけるサブスタンダード船(基準以下船)を排除するための検査ですが、これもOCIMFが定めた基準に基づいて行われる検査です。

その他にもICS(International Chamber of Shipping : 国際海運会議所) という世界中の船主協会が所属する団体があります。この団体も公的機関ではありませんが、IMO(International Maritime Organization : 国際海事機関)の顧問機関となっています。

主目的は海上安全、船舶の設計・設備・構造、海洋汚染防止、海事規則等様々な海事に関する事項の主導権を取る団体です。ここでも海運国、日本の発言力はそれほど強くないようです。世界有数の海運国でありながら、国際舞台での発言力の弱さ、根回しの下手さは日本の政治と同じかもしれません。

OCIMF、ICSの他にISGOTT(イソゴット)という国際的に有名な指針があります。International Safety Guide for Oil Tankers and Terminalsの略がISGOTTで、日本語で言うと「オイルタンカーとターミナルに関する安全指針」です。いわば世界中のタンカー、LNG船、LPG船やターミナルの憲法のようなものです。ここに記された安全基準が世界の統一基準で世界中の船やターミナルに適用される指針です。この安全指針の作成に関わっているのがOCIMFやICSなのです。

例えば、ISGOTTにはBonding Cableは危険であり、使用すべきでないと明記されています。昔からタンカー船等危険物積載船では、船陸間の電位差を下げるためにマニフォールドにBonging Cableを取り付けるべきか、取り付けるべきでないかと議論が2分されていました。そして、最近では取り付けるべきでないという判断が主流です。

これはISGOTTに従ったもので、諸外国の多くのターミナルでは着桟中にBonding Cableを取り付けていません。Bonding Cableは静電気防止に全く効果がないだけでなく、接続時に発火することもあり、取り付けることによりかえって安全を害していると言われているからです。しかし、日本のターミナルではなぜか未だにBonding Cableを取り付けるところが多いようです。

 

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