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入れない、捨てない、拡げない、の三原則

船でしばしば目にする『昆虫』の話です。

外来生物の国内被害を予防するための3原則は、①入れない、②捨てない、③拡げない、です。無闇に外来生物を自国に入れないようにして、飼っている外来生物を捨てないようにして、すでに定着している外来生物を他地域に拡げないようにすることです。この中で船舶に関係あるのは①の「入れない」です。バラスト漲替え作業実施が世界中で強化されてきた背景の一つがこの外来生物の船舶による侵入を防止するためです。

参考: 船舶バラスト水規制管理条約の現状について (第5回 特定外来生物等分類群専門家グループ会合(無脊椎動物)議事次第 | 環境省)

日本に住み付いてしまった外来生物で有名なものは、魚のバス、アライグマ、セアカゴケグモ、アメリカザリガニ、カミツキガメ等です。これらの外来生物によって日本古来の生物の生態系が壊されています。近年はヒアリ(火蟻)という南米中部原産の蟻が問題となっています。刺されると火傷のような激しい痛みを生じ、アレルギー反応を起こして死に至ることもある猛毒を持つ蟻です。

私の経験ではインドネシアへ寄港する船で船内にたくさんの蟻がいました。日本ではあまり見かけない非常に小さい蟻ですが、その動きは非常に機敏です。居住区の何処に巣を作って住んでいるのかわかりませんが、船内のいたるところを歩いています。この蟻を退治するために日本製の「蟻の巣コロリ」を買って設置しました。これで一網打尽だろうと期待しましたが、残念ながら日本の蟻ではないためか、蟻の巣コロリには一匹も蟻が入っていませんでした。結局、蟻は「蟻の巣コロリ」には見向きもせず、一匹も蟻が取れなかったのです。

寄港地によるのでしょうか、ゴキブリが大量発生している船と全くいない船があります。船によってはゴキブリホイホイで信じられないほどたくさんのゴキブリが捕獲されることがあります。しかし、ゴキブリホイホイではやはり限界があります。ゴキブリ退治には「スミチオン」が効果的です。原液を水で20倍程度に薄めて、散布器でゴキブリが通りそうな通路やギャレーに散布します。1回限りでなく、数回に分けて繰り返してスミチオンを散布したほうがより効果的です。

希釈倍率については執筆時のものです。使用に際しては必ず商品の説明をよく読んで、記載内容に従ってお使いください。

陸が見えないぐらい遥か沖に停泊やDriftingしていても、ハエやバッタが船まで飛んでくることが時々あります。まさか船を目指して飛んできている訳ではないと思いますが、風に流されて何十キロも飛んで船上まで辿り着くのは不思議な現象です。それとも既に船内に潜んでいてときおり甲板上に出てくるのでしょうか?

昆虫と言えば「おケラ」を小さい頃近所の畑の土を掘り返して遊んでいるときに見かけましたが、最近は土をいじって遊ぶことも少なくなり、皆さんは「おケラ」を見たことがないかも知れません。農作物を食べるので最近の強力な農薬でその数も減少しているのではないでしょうか。上半身はもぐらのようで下半身はバッタのような格好をした茶黄色い3cmぐらいの虫です。

漢字では「螻蛄」という難しい字を書き、バッタ目ケラ科の昆虫です。有名な歌で「カエルだって、おけらだって、アメンボだーって、みんなみんな、生きているんだ、友達なんだー」という歌があります。夜になると畑から「じい~い」という鳴き声がして、ミミズが鳴いていると思っている人が多いかも知れませんが、あれはおケラが「じい~い」っと鳴いているのです。

虫の「おケラ」以外で馴染ある「おけら」は、財布が空っぽで無一文になったときに「今日はパチンコで大負けして、おけらになったわ。」と使います。「おけら」がなぜ無一文を意味するのか語源を知りません。興味ある人は一度調べてみてください。その他「おけら参り」という言葉もあります。大晦日から元旦にかけて神社へ参拝することです。さらに「おけら」という植物もあります。この根は漢方薬の材料になり、お正月に飲む御屠蘇の原料にもなるそうです。

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