船学の動画サイトがOPEN!

味見しなくても、おいしい料理を作ることができます

船内生活において数少ない楽しみの一つである『食事』の話です。混乗船の時代となり、いつの間にか日本人Cookもいなくなりました。混乗船が始まった頃は日本食に不慣れなCookも多く、口に合わない食事に我慢せざるを得ないことも多々ありました。

食事が不味いことは船員にとって看過できない大問題です。混乗化が始まった頃は、船長みずからが研修へ参加し、料理方法を覚え外国人Cookの指導をすることもありました。最近はCookの日本料理の腕もかなり上達しましたが、稀には、これが日本食かというような料理を出すCookもいます。日本人の口に完全に合う味付けは、やはり難しいのでしょう。

昔はCatering部の監督・管理は無線部(通信長)が担当していましたが、通信士がいなくなった今では船長やC/Oが面倒を見ており、どうしても目が行き届かず、十分な指導ができません。考えてみれば、日本の食文化に馴染みのない人においしい日本料理を作れというのは、そもそも難しい注文なのかも知れません。

なにせ彼らがどれぐらいの塩加減、砂糖加減が正しいのか味見しても正解が判らないでしょう。ましてやインドネシア人Cookのほとんどがイスラム教徒なので豚肉を使った料理は味見ができないのです。それでおいしい料理を作れというには無理があります。

昔、インドネシアで「味の素」が世間を騒がせたことがあります。味の素に豚の成分が含まれていたためです。多くの食品には豚肉が入っているほうがおいしくなるので、わざと豚肉成分を入れています。しかし、イスラム教の人達は豚肉を決して食べません。そのため、食品に限らず「この製品には豚肉は入っていません、宗教上認められている食べ物です。」という意味の「HALAL(ハラル)」マークを表示しています。このマークが入っている商品はイスラムの教えに忠実に従った製品ということでイスラム教信者が安心して使用できるのです。

以前乗船した船では「土用の丑の日」の昼食にうな丼がでました。私達日本人は驚きました。フィリピン人チーフコックが日本人用の食事を作るのですが、彼が土用の丑の日にわざわざうなぎを出したのです。日本人でさえ最近の若い人の多くは土用の丑の日にうなぎを食べる習慣があることを知らないのではないでしょうか。フィリピン人であるチーフコックがそれを知っていたのです。

すぐに彼にどのように土用の丑の日のことを知ったか尋ねました。すると彼はきょとんとして「それは何?わからない。」と言うではありませんか。彼は土用の丑の日のことを知らなかったのです。うなぎを出したのはただの偶然でした。それはそれで驚きです。1年365日のたった1日に偶然にも「土用の丑の日」と「うな丼」が合致したのですから・・・・

この記事が役に立ったら、お気に入りに登録できます。
お気に入り記事はマイページから確認できます。