脚立は一番上に立ったり、またいで立ってはダメ

『転落事故』の話です。機関室の階段やカーゴホールドの階段を降りて行く乗組員の腕のさばき方を見れば、基本を忠実に守っているかどうかを判断できます。エンジニアの人達は毎日のように機関室の階段を昇り降りしているので、両腕で手すりの適切な位置をもちながら滑らかに降りていきます。

練習船でも習った記憶がありますが、片腕は後方に伸ばして手すりを持ちながら降ります。万が一ステップを踏み外して階段からすべり落ちそうになっても、伸ばした片腕でなんとか手すりを掴んで耐えることができます。しかし、両腕で真横の手すりを持ちながら階段を降りた場合、すべり落ちても腕が曲がっており、咄嗟に両手に力が入らず、転落する危険性が大きくなります。

階段の昇降にも自分を守るための適切な動作があるのです。実際には、両手で横の手すりを持ちながら階段を降りている乗組員が多いかも知れませんが、本来は自分の身を守るために片手を後方にしっかりのばしてHandrailを持ちながら降りるということを今一度思い出しましょう。


話は変わって、脚立から転落しない方法の話です。高所作業を行うときに脚立を使用することもあります。皆さんは脚立を適切に使用していますか?日本国内では脚立からの転落事故で毎年のように人が亡くなっているそうです。脚立を使用するときは、まず当然のことながら「開き止め」をしっかりとかけることです。そして、重要なことは、脚立に上がったときに脚立の天板(一番上の板)に立たないことです。脚立メーカーも天板の上に立つことを禁止しているぐらいです。

一番上の天板に立つと足を閉じた状態となり、姿勢のバランスを崩して転落したり、天板を踏み外して落下する危険があるのです。従って脚立の適切な使用方法は、天板の下のステップに立って作業をすることです。できれば2段下のステップに立ってください。しかも片側だけを使用してください。脚立を跨いでの作業は問題ないと思っている人はいませんか?意外にも脚立を跨ぐことも不適切な使用方法で正しくありません。

ドックでは下写真のような高所作業車、いわゆる「Cherry Picker」が活躍します。Cherry Pickerは船体外板塗装で使用されています。その名の通り、さくらんぼを摘み取ることができるような高所作業用の特殊車両です。油圧でアームが自由自在に動き、数十メートルの高さまで届きます。Cherry Pickerは誰にでも運転できるわけではありません。

この高所作業車を運転するには所定の講習を受講して認定証を取得する必要があり、それを所持している人のみ可能です。認定は2種類あって、高さ2~10mと高さ10m以上のカテゴリーに分類されています。ちなみに「Cherry Picker」という言葉は別の意味にも使用されます。美味しいさくらんぼだけを摘み取る人にちなんで、バーゲン等特売ばかりで買い物をする人を「Cherry Picker」と言います。

編集部から

以下は、造船・舶用工業に従事する外国人労働者向け教材ですが、乗組員の方々にも役立つと思います。

(高所作業に関する動画とテキストがご覧いただけます)


担架よりハーネスのほうが、いざと言う時に役立ちますよ

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