漂流する超大型タンカーの救出記録 12月6日(金)16:50〜NHKニュースシブ5時で放送

プロペラクリアー! 確認を忘れていませんか?

危険が一杯の『プロペラ』の話です。

錨地やDrifting中にTry Engineを実施する前に船尾プロペラのクリアーを確認するという基本の手順を忘れている航海士がたくさんいます。LNG船等では錨泊やDriftingの機会が少ないせいでしょうか、意外にも多くの航海士が確認しません。最近はLNG船以外の他船種に乗船する機会がありませんが、皆さんはどうですか?常にTry Engine前のプロペラのクリアーを確認していますか?

岸壁からの出港時のTry Engineでは2/Oが船尾配置についているため、必ずプロペラクリアーの報告があります。しかし、錨地やDrifting終了時のTry Engineの場合、Q/Mがわざわざ船尾に行って確認しなければいけません。

3/Oや2/Oにプロペラを確認したかと尋ねると、「あっ、確認していません。」と言って慌ててQ/Mに見に行かせるケースがよくあります。船尾を確認するよう船長に言われてからでは遅すぎます。係留作業時にMooring LineがLine Boatのプロペラに絡み付く事故やMooring Lineが本船のBow Thrusterやプロペラに絡みつく事故も結構あります。プロペラをまわすことによる事故発生の危険性を十分認識して下さい。仕事のできる航海士は船長に言われなくてもTry Engine前には必ずプロペラのクリアーを確認しています。

桟橋に着桟している場合と違ってDrifting中は、船尾で釣りをしている人もたくさんいます。釣り糸が片付けられずにやりっぱなしになっているかも知れません。あるいは小船がプロペラ付近にいるかも知れません。ですから当然Try Engineの前にはプロペラクリアーを確認する習慣を身につけなければいけません。では釣り糸がプロペラに絡むと、なぜ駄目なのでしょうか?巨大なプロペラに細い釣り糸ぐらい何でもないと思う人がいるかも知れません。

もちろんプロペラ自身は平気なのですが、スターンチューブ (船尾管) が問題なのです。もしスターンチューブのシール部に釣り糸が入り込むと、シール部が損傷して最悪の場合、LOが漏洩します。海洋汚染に厳しいこのご時世でLO漏洩は大事件です。ちなみに停泊中に船尾海面付近にぷかぷかと油らしきものが浮いている場合、スターンチューブからのLO漏洩を疑って下さい。

Driftingの話が出ましたが、入港時間調整や航海スケジュールの都合でDriftingすることがあります。そして時間調整のためには、Drifting以外にも「Cruising」をすることがあります。皆さんはCruisingという言葉を使ったことがあるでしょうか? Cruisingを辞書で引きますと、「適当な速度で巡航すること。」とあります。普通の船では、時間調整するときはFO消費をセーブするために、AnchoringやDriftingを行いますが、LNG船では事情が少し異なります。LNG船では自然蒸発するLNG (ガス) を処理 (燃焼) しないとタンク圧が上昇し過ぎて制御できないため、LNGガスを処理するためにわざわざCruisingしてボイラーで燃焼させることもあります。

プロペラの話をもう一つ。「プロペラ没水率 (Propeller Immersion)」という言葉を聞いたことがありますか? 没水率はプロペラがどれぐらい海面下に沈んでいるかを示す値であり、単位は%で表します。計算式はプロペラボスから海面までの高さ(I)÷プロペラ直径(D)×100(%)となります。従ってプロペラが海面からぎりぎり出るか出ないかという状態は100%でなく、50%ということになります。

勘違いしやすいのですが、プロペラが完全に没水した状態がプロペラ没水率100%ではありません。どの船もプロペラ没水率50%以上の状態、すなわちプロペラ上端が海面上に見えない状態で航走しており、50%以下は避けなければいけません。但し、入渠前の短時間等特別な事由がある場合はプロペラを見せながら、つまりプロペラ没水率50%以下で航行することもあります。

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