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航海当直 ア・ラ・カルト(双眼鏡・海図の扱い)

阪口泰弘阪口泰弘

言うまでもなく、『航海当直』は航海士にとって基本中の基本の職務です。それ相応に出来て当たり前、もしも、信用に足るだけの航海当直の技量を発揮できなければ、船長以下乗組員全員から航海士失格の烙印を押されてしまいます。その航海士の「Basic Skill」ともいえる航海当直について焦点を当て、いくつかの初歩的な話を紹介します。

双眼鏡

毎日の航海当直の見張りで使用する双眼鏡ですが、その双眼鏡の隅から隅までじっくりと見たことがありますか?下写真のように双眼鏡に「7X50 7.3°」という表示がありますが、その数字の意味は何でしょうか?意外とその意味を知らない人がいるかも知れません。最初の「7」は倍率です。実物が7倍の大きさで見えます。(70m離れたところから見ても10m離れたところから見たときと同じ大きさに見える。)

「50」は対物レンズの有効径で50mmの大きさのレンズです。双眼鏡は顕微鏡と一緒で「接眼レンズ」と「対物レンズ」で構成されており、手前のレンズを接眼レンズ、外側のレンズを対物レンズと呼びます。さらに双眼鏡内部には2個のプリズムがあり、これを通して見ているので、小型の双眼鏡でも十分に拡大した物標を見ることができるのです。対物レンズが大きいほど明るくはっきり見えるので高性能の双眼鏡と言えます。

「7.3°」は双眼鏡を覗いて実際に見える範囲を角度で表記したもので、「7.3°」とある場合には双眼鏡を覗いて見える範囲の横方向の角度が7度30分であることを意味します。このように、身近で普段何気なく使っているものでも、まだまだ知らないこともあるはずです。目の前にある機器や書類も少し違った視点・意識で見れば、新たな発見があるかも知れません。

海図の扱い

細かなことですが、海図をきれいにして次直者へ交代していますか?海図の緯度目盛をコンパスや4B鉛筆でなぞった跡を消しゴムで消していますか?これは後任当直者への配慮です。位置を入れるときに海図端の緯度線をコンパスでなぞるので、鉛筆跡がたくさん残ります。それを当直交代前に消すことはエチケットです。練習船や諸先輩に教わったと思いますが、皆さんはできていますか?

当直交代準備の基本なので、海図に不要な鉛筆の跡が残っていれば必ず消すように心がけましょう。さらに交代前のチャートテーブルは片付いていますか?出しっぱなしになったファイルや資料はありませんか?必ず海図やチャートテーブルをきれいに片づけてから交代しましょう。おそらく外国人航海士には細やかな配慮・気配りができる人が少ないと思いますので、エチケット・心構えとして教えてあげて下さい。

また、最近、特に目に付くのが、海図改補で貼り付けた補正図の端がめくれ上がっていても平気な人が多いことです。糊付けが不十分なため、補正図の端が三角定規でこすれてめくれ上がってしまうことが度々あります。そんな状態でも平気で三角定規で位置を入れている人がいます。三角定規がめくれた部分に当たって使い辛いと思うのですが、誰も糊で貼り直そうとしません。私は気が付く度に自分で糊付けしています。将来、紙海図が無くなって全てECDISの時代が来れば、この不満は解消です。

船位が海図の端まで来てしまい接続する海図がない場合の応急的な方法として、海図のはみ出たところに白紙を付け足して使用するという裏技がありました。しかし、本来それは許されないことです。当然、水深や浅瀬が記入されていない紙に船位を入れて航行することに安全が担保されているはずがありません。また、海図が破れたときに上からメンディングテープやセロテープを貼ることも厳密には許されません。

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