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船員の妻が幸せな生活を送るための三カ条?

皆さんの『奥さんや彼女へのメッセージ』です。

船員は下船日が近づくとあれこれと欲張った盛りだくさんの楽しい休暇計画を立てます。その計画は限りなく壮大なものとなり、想像するだけワクワクしてきます。船員にとって下船前が一番うれしいときかも知れません。

そして、下船当日、舷梯を一歩一歩下りて行くあの瞬間に喜びは絶頂に達します。責任感から開放され、船上で起こった様々な出来事もあっという間に過去のものになってしまいます。我が家までの電車内での缶ビールの味も格別です。船員になってほんとうに良かったという気分に酔いしれるひと時です。そして長い間会えなかった妻や彼女への思いを膨らませながら家路を急ぎます。

しかし、下船して家で過ごす日々の中で、考えていた計画を予定通りに実行できることは決して多くはありません。特に結婚して子供がいれば、自分だけの自由時間は極端に少なくなります。普段留守にして寂しい思いをさせている妻や子供への「家族サービス」という絶対的奉仕に精も根も尽き果てます。その結果、自分の計画を遂行する気力も体力もなくなり、果てには軍資金もなくなり、下船前に抱いた壮大な計画の多くがしりつぼみとなり断念せざるを得ません。だからこそ、皆さんには貴重な陸上休暇を後悔しないようにできるかぎり有効に過ごして頂きたいものです。

では、これから船員と結婚される婚約者の皆様へ、あるいは既に結婚されていて逞しく、家庭を守っている新妻の皆様へ、せん越ながら私の長年の船員生活の経験に基づいたアドバイスをさせて頂きます。至って平凡なことかも知れませんが、次の三カ条が船員の妻として必要かつ重要な資質・心構えであると私は確信しています。

一つ、「船員の妻は、待つこと」

船員の妻の人生は待つことばかりです。夫の帰りを数ヶ月も待たなければなりません。サラリーマンの奥さんが主人が会社から帰るのを待つのとはレベルが違います。隣の家の夫婦が仲良く買い物や相談ごとをしているのを見ると、夫がそばにいない妻にとってはうらやましい限りでしょう。ときには船のスケジュールが変更となり、下船の時期が大幅に遅れることもあります。それでも船員の妻は船上で働く夫を信じて、いつまでもいつまでも根気強く待たなければいけません。遠く異国の地にいる夫を信じて待つしかありません。そうすれば、愛する夫はきっと元気な姿と満面の笑顔であなたのもとへ戻ってくるでしょう。

二つ、「船員の妻は、健康であること」

これは昔から良く言われていることです。妻や子供が病気になっても、船員である夫は洋上でどうすることもできず、心配するだけで無力な自分に苛立ち仕事に集中できません。妻と姑の関係が良好で、子供も元気に学校へ行っていることが何よりです。船員である夫は家庭に問題があっても船上から何も力になれない自分がもどかしく、解決できないことに焦り、悩みます。家に飛んで帰りたくても遥か洋上です。心身ともに健康であり、家庭が円満であることが夫に船上で安心して働いてもらうための妻の最重要な務めです。

三つ、「船員の妻は、多くの趣味を持つこと」

船員の休暇は他のサラリーマンの人達に比べて圧倒的に長期間の連続休暇となります。従って船員夫婦は他に類を見ないほど連続した長時間、同じ生活空間を共有するわけです。普通の人ができない長期間の旅行が何時でも何処へでも可能です。せっかくの船員夫婦ならではの長期休暇ですから、普通の人ができないような二人の共通の趣味を作り、存分にエンジョイしたいものです。また、夫が乗船して寂しい時間も自分の好きな趣味に没頭して過ごせば、きっと楽しい生活を過ごすことができるでしょう。

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