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船橋というグラウンドで、素晴らしいチームプレーを

航海士なら誰でも知っている『BRM/BTM』の話です。

普段、何気なく使っている言葉でもその意味を深く掘り起こしてみると、意外と知らなかったことがあったりします。例えば、「Bridge Resource Management(BRM)」と「Bridge Team Management(BTM)」、略同様の意味で使用されていますが、厳密には全く同じではありません。

最近は事故防止の観点から船長や当直航海士がこの訓練を受講しています。BTMという言葉はSIRE質問事項3.6で使われていますし、”BRIDGE TEAM MANAGEMENT”という名前で出版されている書籍もあります。一方、BRMという言葉はSTCW条約の中で文言として使用されています。

では“Team”と“Resource”の違いは何でしょうか? “Team”を辞書で引くと「団、組」とあります。一方“Resource”にはたくさんの意味がありますが、ここで該当する意味は「(まさかの時に)援助をしてくれる人(物)、まさかの時の手段、やりくり」という意味があります。

“Team”というと「チームワーク」という言葉に馴染みがあるように、人に主眼を置いた共同体のことで、やや狭義の意味となります。しかし“Resource”というと、人だけでなく物を含めた資産ということで、“Team”より広義の意味になります。

ところが、学術書を読むと、その逆でBRMは狭義となり、船長が如何に人的資源の機能を如何に維持向上させるかが問われており、BTMが広義となり、船長を含め船橋内全員のチームワーク機能を如何に向上させるかが問われています。

船橋で重要な「良好なコミュニケーション」を維持するためには、英語による会話が大前提です。ときどき仕事中に外国人乗組員同士が自国語でやり取りしていますが、それは基本的には駄目です。私達日本人乗組員にも判るよう英語で会話しなければいけません。当然日本人乗組員も彼らの前では彼らが理解できる英語で話すことが必要です。しかしながら、彼らに知られたくない内容については日本語で話をすることも多々ありますが・・・・・

航海士が航海当直に従事しているときに起きる衝突、座礁等重大事故の原因は種々ありますが、その多くに共通する原因として指摘できるのが、船長・航海士間の意思疎通・バックアップ・サポートの不足・欠如があります。あの時、航海士が船長に助言・報告していれば、あの時、船長が航海士に適切に指示していれば等々チームワークが悪いことが重大事故の原因となります。

船も野球やサッカーと同じチームプレーであり、決して個人競技ではありません。個人の技量がいかに優れていても、チーム全体のまとまりがなければゲームに勝てずに負けてしまいます。チームプレーが悪ければ事故は起こります。このチームプレーの質を高めるのがBRMなのです。情報を求める人、求められる人、指示を出す人、受ける人が自由自在に上手にパスを出し合い、絡み合って連携プレーで出港から入港までの長期間にわたって、船橋というグランドで素晴らしいチームプレーを行なう必要があるのです。皆さんも船というグラウンドで巧みなチームプレーを見せて素晴らしいチームの勝利に多いに貢献して下さい。

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