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イルカさんもクジラさんも、みんな仲良く遊びに来ます

『海で出会う動物』の話です。

航海中には自然の様々な光景を目の当たりにすることがあります。特に動物と出会うときは驚きと感激です。船のそばまでしばしばやって来るのがイルカや鯨です。以前、LNG船で豪州のダンピア港へ入港する直前に鯨が豪快にジャンプする光景を見ました。

十数頭の鯨の群れ(何組かの夫婦?)が本船のすぐそばを雄大に泳いでいました。その中でジャンプしている鯨を撮ったのがこの写真で、本船から実際に撮影したものです。決して週刊誌やネットの写真ではありません。鯨達には逃げる気配が全くないので、本船が接近し過ぎて衝突しないように慎重に針路を調整しながら航行しました。

クジラ(本船から実際に撮影した写真)

鯨よりもイルカに出会うことのほうが多いのですが、イルカの群れに遭遇すると、群れの中の好奇心旺盛な何頭かが、物珍しそうに本船の船首へ寄ってきて、しばらくの間、本船と競争しながら一緒に泳ぐことがあります。おそらく元気で遊び盛りな若者のイルカでしょう。そして、しばらくして遊びに飽きると、また群れへ帰って行きます。このようなイルカ達や鯨達との出会いは、長い航海生活の疲れを癒してくれます。

イルカの群れ(本船から実際に撮影した写真)

船内で私が皆さんによく出題するクイズです。「イルカと鯨の違いは何か?」この質問に対して、「種類・種目が違う。」「尾びれの格好が違う。」等色々な答えが返ってきます。正解は、「イルカと鯨の違いは大きさで分類されているだけで、動物学的な違いはなく、全く同じ種類の動物です。大きさが約4m以上のものを鯨と呼び、4m以下のものをイルカと呼んで区別しているだけなのです。」

皆さんに説明してもなかなか信用してもらえません。こんなときにインターネットがあれば、一発回答です。船内では仕事の話を含めて、正解が求められることが日常茶飯事取り上げられます。ですからインターネットがない船には、せめて百科事典付き電子辞書もしくはパソコン用の百科事典ソフトウェアが欲しいところです。しかし、最近は24時間常時接続の回線が設けられている船が多くなり、インターネットで悩みや疑問が即解決できる便利な時代となりました。

その他にも船上から色々な動物を実際に見かけます。私が見た珍しい動物としては、サハリン航路の船で冬季に氷を割りながら氷海航行をしているとき、氷の上に象アザラシ(らしき)一頭がじっと横たわって寝ているのを見かけました。普通の大きさのアザラシではありません。体が茶色で巨大な象アザラシでした。こんなところで象アザラシを見るとは思っていませんでした。後で聞くところによると、象アザラシは繁殖時期になると流氷と一緒に南下してサハリン沖までやってくるそうです。本船が氷を割りながら数百メートルの距離まで近寄ったところで、その象アザラシはドボーンと海中に潜って逃げてしまいました。

米国の沿岸や港ではペリカンをよく見かけます。愛嬌ある大きな口ばしと重そうな体でゆっくりと低空を飛んでいます。海で最も凶暴な生き物と呼ばれるシャチが船の直ぐそばを泳ぐ姿も見たことがあります。石炭船でカナダのロバーツバンクに着岸中、本船の海側を4頭のシャチがゆっくり並んで泳いでいました。伝書鳩もときどき船に遊びに来ます。陸上が見えない大洋航行中に伝書鳩が休憩するために、本船のデッキに降りたりハンドレールに留まったりします。

ずいぶん前のことですが、台湾近くを航行中に伝書鳩の群れ(10匹程度)が本船に飛来したことがあります。乗組員が米やトウモロコシの餌を与えるとお腹が空いていたのか、おいしそうに食べます。そして、いつの間にか本船に居ついてしまい、約1週間もの間本船に留まっていました。鳩小屋を作ればこのまま本船で飼えるのではと思いましたが、やはり伝書鳩です。知らない間に飛び去ってしまいました。

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